kimuko's text.

毎日。

ORANGE。(ネタバレあります)

お話、としてはよく知っている、阪神大震災を軸にした、消防士やレスキューの舞台。
宇田学演出、音尾琢磨主演。

タイトル:ORANGE
場所:サンシャイン劇場
作・演出:宇田学
出演:音尾琢磨/荒木宏文陽月華川岡大次郎/上地春奈/桂茶がま/植村好宏/森下ひさえ/木村祐一

できることなら、本当にいろんな人に見てもらいたい。音尾君びいきな方だけでなくて、舞台見るの初めて、なんて人にも。

もしこれから見たい、と思う人はここから先は読まずに…。

-----
もう最初からハンカチを出しておかないとダメなくらい、感情の波が押し寄せてくる。
しかもそれが、ほぼ負の感情だから余計につらい。
それを演じている人、それを見ている人たちの感情が渦を巻いて会場全体に広がっているよう。

でも、山倉の死亡フラグとその死については、ちょっと解釈が難しい。
このことは初演からいろんなところで話に上がっているみたいだけれど、あまりにも、「現場の判断」としては稚拙すぎて、このことで他のみんなが落ちてしまうのが、もちろん大泣きするんだけれども、頭がついていかないところでもある。
だから小日向(音尾君)が「あいつはいい消防士だった」と最後にいうところが納得いかないというか、その前のシーンで「あいつはダメな消防士だった」という方が、消防士として正しい姿勢な気がしてしまう。
・・もちろん、受け取り方や解釈によって、いろんな人によっていろんな風にとらえられるのだけれど。

最初の頃の山倉は、恐怖を感じていた。それって人間としては正しい「反応」で、高所恐怖症が自分の身を守るために正しい「反応」というのと同じこと。(わたしは「高所大丈夫症」っていうぐらい高いところが大好きなので、そっちの方が自分の身を守れなくて危険らしい。閑話休題。)
その恐怖を、後になると、克服する、のではなく、感情の高ぶりによって打ち消しているように見えてしまう。周りも本当はそれを認めちゃいけないんだよね…若気の至り、といいたい部分なのかもしれないけど、本来そこは、このORANGEの根底に流れる部分とは違うのかなー、ともやもやしてしまう…。

ただ、その部分をクローズアップしなくても、阪神大震災を様々な人が体験し、つらい思いをし、東日本大震災もあって、心が揺れ続けている中で、互いに支えあいながら生きていくのを、小さな舞台の中であっても、それが日本全体であるように見られた。何より俳優さんたちの演技が、息遣いが、本当に素晴らしくて、あー、この舞台を見られてよかったな、と心から思えた。

うん、やっぱり、見てほしいな。いろんな人に。